Windowsの標準WebサーバーIISとWordPressを利用したオリジナルサイトの構築

 WordPress(ワードプレス)は、世界で圧倒的なシェアをもち,無料で使えるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)です。無数のテンプレートとプラグインを活用すれば,やりたいと思ったことはなんでも実現できます。しかし,UbuntuやCentOSなどのLinux系のサーバー上でWebサイトを構築するのが多く,Windows系のWebサービスIISとWordPressを活用してWebサイトを構築するのがまだ少なく,インターネット上で公開された情報も不足です。

 Windows Server の標準WebサーバーIISにWordPressを追加する際,マイクロソフトの標準ツールWeb Platform Installer(Web PI)または「XAMPP」(ザンプ)というツールを利用した方が楽です。けれど,2020年4月現在,この二つのツールでインストールできるWordPress,MySQLまたはPHPのバージョンが低くて,最初からセキュリティ上の不安を抱えてしまうため,以下の手順に沿って,Windows Server 2019のWebサービスIISにWordPressを手動で追加した方が望ましいです。

WebサーバーIISのインストール

 Windows Server をインストールしてから,[サーバー マネージャー]を開き,[役割と機能の追加]のリンクをクリックして,[Web サーバー (IIS)] の項目のチェックボックスをクリックすればインストールできます。詳しい操作は以下のサイトをご参照ください。

Webサイトの追加

 Web サーバー (IIS)のインストールが正常に終了したら,「windows管理ツール」から「インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャー」をクリックし,インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャーを立ち上げます。

 そこで,Webサイトを新規に追加します。それから,Webサイトの「バインド」設定を開いて,WebサイトのIPアドレスとドメイン名を設定します。

 次のサイトをご参照ください。

MySQLのインストール

  1. MySQL Installer を https://dev.mysql.com/downloads/installer/ からダウンロードしてインストールします。
  2. MySQL Installerを実行し,右側の[Add…]ボタンをクリックしてから,MySQL Server はバージョン8.0以上のものを追加し,ApplicationsはMySQL Workbench 8.0の中から一つ選んで追加し,MySQL Server 8.0.xとGUI管理ツールMySQL Workbench 8.0.xをインストールします。
  3. MySQL の設定画面が表示されると,rootユーザーのパスワードとアカウント認証方法(Authentication Method)を設定します。既定としては,安全な暗号化パスワードの方式(Use Strong Password Encryption for Authentication)となっているが,Wordpressとの相性により,これを利用しません。その下の従来の認証方式(Use Legacy Authentication Method)をチェックしてください。

 以下のサイトをご参考ください。

PHPのインストール

 PHPのインストールは様々な方法があるが,一番わかりやすい方法はWeb Platform Installer(Web PI)を使う方法です。これはマイクロソフトのすべての無料 Web 製品を簡単にダウンロードおよびインストールするためのツールです。

 Web Platform InstallerはマイクロソフトのHPからダウンロードしてインストールします。

 Web PIをインストールしてから,インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャーを立ち上げて,作成されたWebサイトをクリックすると,右下の「展開」のところ,「アプリケーションをギャラリーからインストール」という項目が表示されます。これをクリックして,Web Platform Installerが立ち上げられます。Web Platform Installerの画面上で「php」を入力し,検索すれば,「PHP 7.4.1 (x86) for IIS Express」および他のバージョンのPHPが表示されます。バージョンが7.2以上,「for IIS Express」つきのPHPを一つ選んで「追加」でインストールします。

WordPressのファイル配置

 Web Platform Installerを使てっもWordPressをインストールできますが,最新版ではないので,WordPress 公式ページhttps://ja.wordpress.org/download/からWordPressの最新版パッケージをダウンロードします。

 ダウンロードしたパッケージを解凍して,wordpressフォルダにあるすべてのファイルおよびフォルダを,前に作成されたIISのWebサイトのフォルダにコピーするだけで,WordPressの最新版を配置できます。

 wordpressのファイルを配置する際,IISのWebサイトのフォルダに「wordpress」というサブフォルダを作成の上このサブフォルダに配置することはお勧めできません。サブフォルダに配置する場合,Webサイトをアクセスするとき,http://localhost/wordpressのように「/wordpress」をつける必要があります。直接Webサイトのrootフォルダに配置する場合,HPのアクセスに「/wordpress」をつける必要がありませんから便利です。

phpMyAdminのインストール

 MySQL データベースを管理するツールとして,MySQL Workbench 8.0.xを利用できますが,英語のGUIで初心者向けの者ではありません。Webブラウザで動作可能な「phpMyAdmin」をインストールした方がよいです。

  • phpMyAdmin の配布ページへアクセスし,最新版をダウンロードします。
  • IISのWebサイトのフォルダーに「phpMyAdmin」というフォルダーを作成します。上でダウンロードしたphpMyAdminファイルを展開し,展開したファイル・フォルダーをすべて「phpMyAdmin」フォルダにコピーします。
  • ブラウザを起動し,「http://localhost/phpMyAdmin/」(WebサイトのIPアドレスまたはドメイン名が設定された場合,localhostの代わりにIPアドレスまたはドメイン名を入力)へアクセスして,root名とパスワードを入力してから,管理画面が表示されます。ここでWordpressに利用予定のデータベース,ユーザー名とパスワードを作成します。

 詳しい操作はこちらのHPをご参照ください。

WordPressのインストール

 ブラウザでhttp://localhost/wp-admin/(WebサイトのIPアドレスまたはドメイン名が設定された場合,localhostの代わりにIPアドレスまたはドメイン名を入力)にアクセスすると,WordPressのインストール画面が表示され,MySQLのデータベース名,ユーザー名とパスワードを入力し,WordPressの管理者IDとパスワードを指定します。

 次のサイトをご参照ください。

HTTPS サービスのセットアップ

 IISで全ページをSSL暗号化通信で保護するhttpsのサイトを作成するために,サーバーのSSL証明書を取得する必要があります。有料のSSL証明書を取得できれば便利ですが,無料のものを活用してもhttpsサイトを構築できます。

 お勧めの方法はLet’s Encryptを利用します。win-acme のWebサイトにアクセスし,最新のwin-acmeをダウンロードします。ダウンロードしたファイルを展開してから,「win-acme.v2.1.5.742.x64.pluggable」のようなフォルダが現れ,このフォルダにあるwacs.exeを右クリックして,「管理者として実行」すれば,画面のとおりに番号を選択し必要な入力をすればhttpsのサイトを簡単に作成できます。

 詳しい操作は以下のサイトをご参照ください。